少子高齢化で公的年金制度の崩壊が叫ばれる中、老後資金準備に個人年金保険を検討している人も多いと思います。老後に備えた資金準備・資産形成方法の選択肢が増えてきている中で、個人年金保険は本当に不要でしょうか?今回は個人年金の必要性について考えていきたいと思います。
退職金が期待できる人は不要
金融広報中央委員会の平成28年「金融行動調査」によると、定年世代・二人世帯の一ヶ月あたりの生活費は約27万円です。そこから公的年金の受給金額を差し引いた金額に平均余命を掛けた場合、公的年金以外に必要な自己資金は3,000万円ほどになります。
老後に必要な自己資金3,000万円と仮定すると、大手企業や公務員として勤務していれば退職金で十分間に合う人もいるでしょう。そういう人は個人年金を検討する必要がないと言えます。
なお老後に必要と言われる3,000万円は、「普通の生活」を送れるラインです。旅行や趣味、孫との時間を楽しんだりと、ゆとりあるシニアライフを謳歌するためにはそれ以上の資金が必要だと言われています。
貯蓄目的で「個人年金の確定型」を利用するのは有り
個人年金保険のメリットの一つに、貯金同様「元本保証で毎月強制的に老後資金が貯蓄されていく」ことが挙げられます。
個人年金保険には、利率・受け取る年金額が変動するハイリスク・ハイリターンの「変額型」と、利率・受け取る金額は一定の「確定型」があります。確定型の場合は商品の返戻率が110%であれば、仮に払込総額が400万場合440万の年金が受け取れる計算になります。変額型の場合は保険会社の運用次第でハイリターンも期待できますが、個人年金保険は契約期間が長期に及び、契約期間内に解約を行うと確実に元本割れします。そのため個人年金の変動型を利用するならば、通常の投資信託に資金を回した方が自由度が高く、資金を運用できると言えます。
「元本割れのリスクは絶対避けたい」という人で、確実に貯蓄をしたい場合は定期預金の金利よりは条件の良い「個人年金保険の定額型」を利用しても良いでしょう。
老後資金の資産形成を目指すなら投資信託
一方老後資金を「貯蓄ではなく、資産形成してお金を増やしていきたい」という人や、ある程度すでに資金がある人には投資信託をオススメします。投資信託は元本割れするリスクもありますが、運用が成功すれば大きく資金を増やす=資産形成をすることが可能です。最近では積立型の投資信託「つみたてNISA」もありますので、個人年金保険同様つみたて感覚での利用も可能です。
まとめると、老後資金準備において個人年金は「確実」「貯蓄」の側面を重視し、かつ退職金がそれほど多くない人には必要で、それ以外の人には必ずしも必要ではない、そんなことが言えるのではないでしょうか。個人年金とそれ以外の老後資金準備の方法をきちんと理解した上で、自分に合った方法を見つけてください。