リタイア後のセカンドライフに備えるための貯蓄型商品、個人年金保険。将来の備えは多くの人に必要ですが、一方で個人年金保険は無駄という意見もあるようです。今回は個人保険が無駄と言われる理由について考えてみましょう。
個人年金が無駄な理由1:節税効果はそれほどない
2017年から個人型確定拠出金iDecoがスタートしました。iDecoがスタートしてから個人年金保険はiDecoとよく比較されていますが、大きな相違点として挙げられるのはその節税効果です。例えば30歳・年収400万・毎月の掛け金が1万円の場合、iDecoでの年間節税効果は2万4千円になります。一方個人年金保険の場合は同様の掛金であれば年間数千円の節税にしかならず、節税という観点では個人年金保険はあまり意味がないということになります。ただしiDecoの場合、大企業などに勤務していて退職金が多い場合は、退職一時金受け取り時に課税対象となる場合がありますので注意が必要です。
理由2:長期間資産が凍結
個人年金保険は長期に渡っての契約が前提で、途中解約することを想定されていない商品です。そのため20代で契約すれば30年以上、30代でも20年以上の契約となり、その間長期間に渡って資産が凍結されることになります。その間、何らかの理由で途中解約する場合は、元本割れしてしまいます。
「老後のための備えだし、途中解約はしない」、実際そう考えている人もいるでしょう。確かに途中解約はしないかもしれませんが、10年後・20年後にバブル期並みに金利が上がる可能性があるかもしれません。現在の年金保険の利回りは平均して数%程度。遠い将来利回りの良い商品が現れたら、そちらに乗り換えたくなるのが普通だと思います。そうなった場合、解約に基づいて元本割れしてしまい、「まだ銀行預金の方が良かった」ということになりかねません。
平均利回りが類似している投資信託などを、個人年金保険の代替で選択すれば多少の変動リスクはあるものの資産が長期に渡って凍結されることもありません。
理由3:インフレリスクに対応できない
理由2で挙げた「資産長期凍結されるリスク」は、インフレに対応できないというリスクも伴います。例えばインフレ率1%、年利1%だったとしましょう。これまで100万円だったものが、インフレ率が1%だと購入に101万円必要ということになります。この状態は契約期間=資産凍結の間は継続することになり、預けている資産と実際のお金の価値の差が20〜30年の間に開いてしまうことになります。
個人年金保険は元本保障がされているため、老後資金を検討するにあたって「安心」を求めたい人にとっては向いている商品と言えますが、全ての人に向いているわけではありません。老後資金の検討は誰にでも必要なことですが、老後資金確保方法については「自分にとって何が大切なのか」について、しっかりと検討することが大切です。