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節税や納税資金対策として
死亡退職金とは会社に長く勤めた人に対して功労の対価を遺族へ支払うものです。通常の退職金と何も変わりないように感じるかもしれませんが、死亡時に遺族へ支給されるため相続税の対象になるという点が大きな違いです。また、被相続人が生命保険を契約し負担していた場合、受け取る保険金もみなし租遺族財産として相続税の対象になります。
みなし相続財産である死亡退職金
被相続人が亡くなってから3年以内に支給されることが確定している財産は、相続財産とみなされます。死亡退職金については亡くなった段階で支払われることが確定するため相続税の課税対象となります。実際は相続財産ではないのに相続財産とみなされる財産を「みなし相続財産」といいます。
死亡退職金の非課税枠
みなし相続財産である死亡退職金には非課税枠が設けられており、生命保険の非課税枠と同様に「500万円×法定相続人の数」がその対象です。ここでの法定相続人の数というのは、例えば相続放棄を行う法定相続人の数も含みます。
弔慰金の非課税枠
さらに遺族に支払われる弔慰金についても次の金額が非課税です。
・被相続人の死亡が業務上での場合
(死亡時の月額給与額)×36か月分
・被相続人の死亡が業務上以外の場合
(死亡時の月額給与額)×6か月分
そして死亡退職金については同族会社の株式評価額の計算上、会社の債務として計上するため株式評価額の引下げになる場合もあります。
生命保険の非課税枠と節税対策
生命保険も死亡退職金と同じように「500万円×法定相続人の数」が非課税です。仮に生命保険5,000万円、法定相続人4人の場合、500万円×4人=2,000万円が非課税になります。保険金を5,000万円受け取って課税されるのは3,000万円についてのみです。
相続税は超過累進税率なので、一番上積み部分の税率(適用税率)が仮に40%とすると、預金が5,000万円ある場合と比較すると非課税分の2,000万円についての税額(2,000万円×40%=800万円)だけ生命保険の方が有利です。
そう考えると、5,000万円預金があるなら5,000万円の死亡保険に入って受け取るようにしたほうが800万円節税できますし、5,000万円の死亡保険に入るためには5,000万円は必要ありませんので差額分は預金に残すこともできます。
死亡退職金と生命保険を上手に使った節税対策を
死亡退職金も生命保険金も相続税の対象となりますが、受け取りは現金ですし非課税になる部分があるため相続税の納税へ充てることも可能になります。死亡退職金を受け取る権利のある人は退職金規定で定められていることがほとんどで、相続人としてではなく固有の権利として受け取ることができます。生命保険も同様、保険契約の効力発生と同時に固有財産になります。遺産分割の対象にもなりません。この2つの特徴を上手く利用することで相続税対策が可能となるでしょう。