生命保険は将来万一何かが起きた時の事態に備えておくためのものです。しかし保険の機能はそれだけではなく、貯蓄型の保険は備えとしても資産形成としても活用できるようになっています。
資産形成に活用できる終身保険とは?
保険には定期保険と終身保険など種類がありますが、貯蓄型保険に分類されるのは終身保険です。
定期保険は保険期間が10年や60歳までといったように、一定期間のみを保障しますが、終身保険は解約しなければ一生涯の保障を確保することができます。
その終身保険などを活用して資産形成する理由は「解約返戻金」です。生命保険会社は保険金支払いのために責任準備金を積み立てていますが、この一部が解約した時に解約返戻金として戻されます。
低解約返戻金型終身保険の特徴
ただし終身保険で積立を続ける場合、計画通りに保険料が支払えなかった時のリスクについても考えておく必要があります。
資産形成でよく活用される終身保険に「低解約返戻金型終身保険」がありますが、この保険は保険料払込期間の解約返戻金が通常の終身保険の7割程度に抑えられています。
保険料の払い込みが終了するまでの解約返戻金は払い込んだ保険料の100%を下回りますが、払い込みが終わると解約返戻率がそれまで払いこんだ保険料総額を上回るといった仕組みです。
保険を資産形成に活用するリスク
そのため途中で解約すると低い返戻率での解約返戻金しか受取ることができませんので、継続できるかが重要になります。
契約時は負担にならなかった毎月の保険料が、住宅ローンや子供の教育費などで段々と苦しくなり、いずれ途中解約する必要が出てしまうと意味がありません。
インフレリスクについても理解が必要
また、資産形成の面で見えない元本割れというリスクについても考えておきましょう。
保険を資産形成で活用する場合、数十年に渡る保険料の支払いを続けることになります。その数十年の間に物価が上昇すればお金の価値も変わるので、現在100万円で購入できるものでも数十年後には不足が生じる可能性が出てきます。
このインフレによる資産の目減りについても十分理解した上で、将来受取ることができる保険料や解約返戻金について考えておく必要があるでしょう。
無理な保険料の支払いは長続きしない
また、低解約返戻金型終身保険は一般的な終身保険よりは保険料が安く設定されていますが、それでも定期保険などに比べると割高です。
資産形成ではなく保障として持つのでれば定期保険に加入したほうが保険料は割安なので、保障と資産形成の両面を兼ね備えるメリットを重視するより保障とは分けて考えた方が良いケースもあります。
定期保険で保障だけ確保し、資産形成には貯蓄型の保険や投資を活用したほうがいざという時に現金化しやすいでしょう。