貯蓄をする理由は人それぞれですが、お金を貯めて行くことを考えるとやはり安全性が高い方法を選択することを望む人が多いでしょう。
特に日本人は金融資産のほとんどが銀行の預貯金であるなど、安全性を重視する傾向が強いと言えます。
しかし安全性が高い貯蓄とはどのような状態なのか、しっかり理解した上で預貯金などに預け入れているでしょうか。何をもって安全と言えるのかを理解しておくようにしましょう。
元本を保証するということは?
銀行の預貯金、債券などは基本的に元本が保証される運用方法です。元本保証とは預け入れたお金を受け取る際、預けた金額を下回らないことを預け先が約束をすることになります。
ただし、どのような場合でも元本保証というわけではなく、元本を保証すると約束しているのはあくまでも預け先だけです。
預貯金なら銀行や信用金庫といった金融機関であり、債券なら国や企業など債券を発行した先です。保険商品なら保険会社が該当します。では預け先が破綻してしまうとどうなるでしょう。
預け先が破綻してしまった時は?
仮に金融機関が破綻した場合、預金保険機構などが一定額まで預金を払い戻すことを約束している制度がペイオフです。ペイオフの対象になるのは次の金融商品です。
・全額が保護の対象…当座預金、利息のつかない普通預金
・一部が対象…(合算して元本1,000万円とその利息等を保護)普通預金、定期預金、定期積金
また、郵貯銀行についても民営化後に預けられた貯金は他の金融機関と同様にペイオフの対象です。ただし外貨預金、投資信託、債券などは対象外になりますので、ペイオフ対象の金融商品でも一つの金融機関に預け入れる金額は1,000万円までにしておくなど、工夫できることは実践したほうが良いでしょう。
また、金融機関が破綻してしまうことで資産を失うことを防ぐために、金融機関の格付けなどで健全性を確認することも大切です。
格付けのランクで金融機関の健全性の確認を
金融機関や債券の発行元の健全性を図るために、評価会社が公表している格付けを確認してみると良いでしょう。格付機関といわれる評価会社は、金融機関や企業、国などに対して財政の健全性の調査を行い総合的に判断してランクを付けています。
評価会社によって格付けのランクは異なりますが、主な格付けとその意味は次の通りです。
・AAA(Aaa)健全性が最も高い
・AA(Aa)健全性が非常に高い
・A(A)健全性は高い
・BBB(Baa)健全性は高いが、将来は低下する可能性がある
・BB(Ba)当面は健全性に問題はないが、将来まで健全とはいえない
・B(B)健全性に乏しく、不安要素がある
・CCC(Caa)現在において不安要素があり、破綻の危険性がある
・CC(Ca)破綻に陥る可能性が高い
・C(C)破綻に陥る可能性が非常に高い
・D(D)破綻となっている
これらのランクの中で「BBB(Baa)」以上が投資適格であると判断でき、比較的安全性が保てていると言えるでしょう。なお、日本の国債の格付けは「AA
などかなり高い水準になっています。
安全性を確保した貯蓄を目指すなら
国債の場合は民間企業のように倒産する危険性はないので、過度な心配はないとは言えます。しかし価格が急落することは考えられますので、油断しない姿勢は大切だと言えるでしょう。
また、生保会社などでも格付けランクは発表されていますし、万一生保会社が破綻した場合には生命保険契約者保護機構が破綻時点の補償対象契約の責任準備金の90%までは補償するといった形になっています。
様々な部分を踏まえた上で、安全性の高い貯蓄方法を検討することが必要だと言えるでしょう。