貯蓄型保険の利率低下はマイナス金利による影響?

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一般の人たちがお金を預けたり、お金を借りたりする銀行など金融機関は、日本銀行の当座預金にお金を預金して利子を受け取っています。
しかし2016年1月29日に日本銀行は「マイナス金利政策」を導入したことで、日銀に預金すればマイナス0.1%の利子、つまり日銀に利子を払わなくてはいけなくなりました。
考え方としては日銀にお金を預けるために手数料が必要になるとイメージすればわかりやすいかもしれません。
そしてこのマイナス金利政策は、銀行と日銀のみの関係だけに終わらず、一般の人の預金金利や住宅ローン金利、さらに学資保険などの貯蓄型保険にも影響を及ぼしています。

 

生命保険会社は予定利率を下げている

マイナス金利政策の影響で生命保険会社は市場動向を踏まえ、独自に予定利率を下げています。
この予定利率を決定するための指標は金融庁が提示している標準利率ですが、この標準利率も2017年4月に1.0%から0.25%まで引き下げになっています。

 

そもそも予定利率とは?

生命保険会社は保険契約者が支払う保険料を決める際に、将来支払う保険金のため一定の予定利率(運用利回り)を約束します。
予定利率以外にも、過去の統計から性別や年齢に分けて死亡者数を推計した予定死亡率、さらに保険会社が事業を運営するにあたり必要な経費を事前に見込む率である予定事業費率も踏まえて保険料を決めます。
マイナス金利はこのうち予定利率に大きく影響を与えましたが、その特性として貯蓄性の保険は将来保険金を受取る時ために長期で運用するタイプの保険であることが挙げられるでしょう。

 

なぜ予定利率低下で保険料が高くなる?

生命保険での保険金の支払いは20年や30年先なので保険会社は安定した運用を行うことが必要です。
そのため運用資産は円建て債券が中心となりますが、マイナス金利は国債や社債にも影響が及ぶので、予定利率が高いままでは将来の運用で生命保険会社の財務状態は悪化する可能性があります。
そのため生命保険会社も金利低下に合わせて、予定利率を下げることが必要になると言えるでしょう。
これまでの予定利率より率が低くなれば運用利益が少なくなりますので、予定利率が低下する前と同じ保険金を希望するとしても保険料は従来よりも多く支払う必要が出てきます。

 

貯蓄型保険の中では販売停止になるものも続出

貯蓄型の保険には、学資保険、個人年金保険、養老保険、終身保険などがあります。
保険料の値上がり率は保険会社によって異なりますが、20~30%くらい高くなっているケースもあれば、既に販売自体が停止された商品もあります。

 

解約返戻金の受取りにも影響

また、終身保険など解約した時に受取ることができる解約返戻金についても、予定利率が高い時には払込保険料総額を上回る解約返戻金を受取ることができるケースが多く、効率的な資産運用として高い人気を誇っていました。
しかし予定利率低下により、多くの運用利益が見込めなくなったことで受取ることができる解約返戻金も少なくなっています。

 

貯蓄型保険で資産運用を検討するなら

このようにマイナス金利は保険会社の予定利率に影響を及ぼし、貯蓄型保険の保険料などに影響を与えているだけでなく販売されなくなった商品まで出てきました。
保険で運用を考える場合には、このような状況も踏まえて将来どのくらいの保険料を支払い、それに対してどのくらいの保険金を受取ることができるのかを確認した上で検討するようにしましょう。

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