今金融庁長官が金融機関の投資信託販売を批判する発言をするなど、金融庁の動きが注目されています。金融庁が進める「貯蓄から資産形成へ」の目的とは何なのでしょうか。
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史上最強の金融庁長官とも言われている森長官とは?
「銀行は顧客の利益を考えず、高額手数料の商品ばかり売っている」「まともな投資信託は1%だけ」など、昨今の森信親金融庁長官の過激な発言が金融業界で話題になっています。金融庁が金融業界にこれほど痛烈な批判を浴びせるのは異例で、森長官は財務大臣と金融担当大臣を兼任する麻生氏と親交が強く、菅官房長官など安倍政権の中枢とも信頼が厚いなどの後ろ盾があるからこその強気発言で、「金融庁史上最強の長官」と言われています。また3年にわたり長官を努めるなど異例の人物です。
「貯蓄から資産形成へ」をスローガンに掲げる背景
政府は長い間「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げてきました。それには個人の金融資産を成長産業に回して、日本経済を活性化したい意図があります。しかし、個人の金融資産は30年前から倍増しているのにもかわらず、17年3月末で家計の金融資産は1809兆円になったにもかかわらず、現金・預金の構成比が932兆円と半分を占めています。預貯金は超低金利で増えないにもかかわらず投資への流れはできていません。
営業手法に森長官がダメ出し!
森長官は検査局長を務めた4年前から改善に着手し、金融機関に「顧客本位」の商品を売ることを求めてきた人物で、「売る側の銀行や証券会社の方が圧倒的に情報を持ち、買う側の顧客の知識が乏しいことを利用し、手数料を多く取れる金融商品を回転販売してきた」と批判しました。
変わりつつある金融機関
森長官が求めるフィデューシャリー・デューティ(顧客本位)への取り組みはこうした森長官の批判を受け金融機関に徐々に浸透しつつあります。証券会社もこれまでは手数料稼ぎを重視してきましたが、だんだんと顧客にあった商品を勧める形に変わりつつあります。金融機関の中にはファイナンシャル・プランナーの資格と取るように義務つけているところも出てくるようになりました。顧客が「貯蓄から資産形成へ」に向かえるような仕組み作りはどんどんと進んできています。
金融庁が進めるNISA
「貯蓄から資産形成へ」に向かえるような仕組みとして今注目を集めているのがNISAです。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなるのです。