投資信託の評価会社や金融商品取引業者では、インターネット等のサイトから投資信託の分配金利回りランキングを公表しているケースがあります。
しかしこのランキングを鵜呑みにしてしまうと、大きく値下がりした投資信託で取引してしまう可能性があります。
何を基準にランキング表示されているかを確認し、パフォーマンスの良い投資信託を選ぶようにしましょう。
ランキングの分配金利回りは正しい?
一般的にインターネットで公表されているランキングの中で目安になる「分配金利回り」を、例えば「(過去1年間の分配金累計額)÷(直近の基準価格)×100%」で計算したとします。
特別分配金の支払いを行って直近の基準価格が低くなれば利回りは高くなります。しかし特別分配金は元本の払い戻しと同じことなので、元本が払い出されているのに利回りランキングの上位に位置されることになってしまいます。
ランキング上位だからパフォーマンスが良いとは限らない
1年前は同じ基準価額の2つの投資信託があったとして、1年間の分配金額も同じだったのに大きく値下がりした投資信託の方が高い利回りで表示されるケースがあるということです。
このように投資信託での取引は商品性を理解した上で行うことが大切です。
投資家はランキングの上位に位置する投資信託のほうがパフォーマンスは良いと判断してしまうかもしれませんが、ランキングが高いからパフォーマンスも良いとは限りません。
分配金の仕組みとは?
投資信託の分配金は投資信託の純資産の中から支払われますので、分配金が支払われるとその分基準価額は下がります。
なお、投資信託の分配金には次2種類があります。
・普通分配金
個別元本(ファンド取得時の平均投資元本)を上回る部分から支払われる分配金です。
個別元本は投資信託を購入した時の基準価額ですので、同じ投資信託を複数回購入した時や、特別分配金を受取った場合には修正されることになります。
運用により生じた収益から支払われるので、利益として課税対象です。
・特別分配金
個別元本を下回る部分からの支払われる分配金なので、投資した元本の一部を払い戻す形になり、その分個別元本は減少していきます。
なお、元本の払い戻しなので非課税です。
分配金と利回りの仕組みを理解しておくこと
分配金は事前に一定額の支払いが約束されるのではなく、運用状況次第なので分配金が支払われないケースもあります。
なお、収益分配金(課税前)の水準は変わらなくても、基準価額が上昇して個別元本を上回った場合には特別分配金(元本払戻金)が普通分配金になります。そのため普通分配金に対して課税される税金分、手取額が減ることもあります。