老後の生活を公的年金だけで支えることは、今後さらに困難になることが考えられます。そのためにも私的年金制度を活用し、公的年金の上乗せ給付が保障されるように、また、高齢期を豊かで穏やかに過ごすために検討しましょう。
現在、個人や企業は、多様に設けられた制度から自らのニーズに合う制度を選び、老後の備えとして活用することができる様になっています。
私的年金の種類
大きく「確定給付型」と「確定拠出型」に分けることができます。
確定給付型は加入期間などに基づいた給付額が事前に決められる制度で、将来的な設計を立てやすく、仮に運用が低迷し積立水準に不足が生じれば企業などから追加拠出される仕組みです。
確定拠出型は掛金と運用収益の合計額に基づいた給付額が決定されます。企業から追加拠出されることがないので、加入者自身で運用していく必要があります。
●確定給付企業年金制度(DB)
加入者にとって年金受給権が保護される部分がメリットの制度で、次の2つの種類があります。
・規約型確定給付企業年金
厚生年金適用事業所の事業主が実施主体となり、企業と信託会社や生命保険会社などが契約を締結し資金を管理・運用していきます。
・基金型確定給付企業年金
設立した企業年金基金が実施主体となって資金を管理・運用していきます。
●確定拠出年金制度(DC)
掛金は加入者ごとに区分され、掛金と加入者自らの指図により生じた運用益との合計額をもとに給付額が決まります。
確定給付型では対応が困難な中小企業に勤務している従業員や自営業者などでも加入できるため、ニーズが高まりつつある制度と言えるでしょう。
・企業型確定拠出年金
企業の拠出で行う制度ですが、拠出限度額枠内と事業主の掛金を越えない範囲で、加入者が追加入金することもできます。
・個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人の拠出に行う制度で、国民年金基金連合会に申請することが必要です。
●厚生年金基金制度
企業が実情などに応じた独自の上乗せ給付を行い、国に代わり厚生年金給付の一部を行うことを可能とする制度です。ただし平成26年4月1日以降は厚生年金基金の新規設立は認められていません。
●国民年金基金制度
自営業者などが老後の所得保障を充実させるために任意で加入できる制度で、地域型と職能型の2つの種類があります。
老後の備えを充実させるために
このように個人や企業が年金制度を充実させるための制度は多様化されており、他にも民間保険会社の個人年金保険などを活用することでさらに老後資金への備えを充実させることができます。
公的年金だけで不安を感じる場合には、老後の生活の糧となる資金を少しでも手厚く確保出来る様に、この様な制度の利用を検討しましょう。