老後資金を十分確保できていない高齢者も存在する
アンケート調査で退職後の資金として公的年金以外の必要額は約3,000万円という結果が出ています。現在の日本は老後貧困で65歳以上の高齢者世帯の約4割が老後破産状態にあるとも言われていますが、本当に3,000万円必要なのか、また、3,000万円で足りるのでしょうか。
年金よりも生活保護受給のほうが高額?
例えば東京都杉並区の月額生活保護額は生活扶助と住宅扶助で約14万円です。生活保護受給世帯の場合、税金、健康保険料、介護保険料どれも免除になりますし、医療費や介護費もかからず、都営の地下鉄やバスも無料です。現在65歳以上の高齢者世帯の約4割が、生活保護以下の老後破産状態にあると言われています。
そして現状として現在生活保護を受給している世帯の約半数は高齢者世帯です。生活保護を申請すれば必ず受給できるわけでもありません。少しの貯蓄と持ち家の所有で生活保護を受けることができない高齢者世帯も多くいます。
3,000万円は妥当な金額?
65歳以上の高齢者世帯の平均年金受給額は約19万円です。働いていない老後夫婦が必要になる最低生活費は約27万円ですので、月8万円不足しています。これはあくまでも最低限の生活です。少し余裕のある生活をしたければ夫婦で約38万円が必要で、月19万円不足です。
60歳時点の貯蓄の中央値は約1,400万円というデータがあります。60歳が定年年齢の場合、それ以降仕事をしなければ65歳までは年金受給が行われません。65歳まで最低生活費27万円で暮らした場合5年間で1,620万円必要です。既に220万円不足が生じることで65歳手前から老後破綻状態になります。
60歳時点で3,000万円貯金があれば、年金受給時には1,400万円残ります。85歳まで生きたとして、1,400万円を20年間で割ると1年に70万円、1か月5万8千円が生活費にあてることができます。
ただし年金平均受給額が19万円ですから、合わせても27万円には足りていません。医学の進歩でさらに長生きする世帯が増えることも考えると、もし毎月27万円で生活したければ3,000万円よりも多く必要になるでしょう。
まとめ
日常生活を普通に送るための資金以外に、住宅修繕費用、介護費用、葬儀費用などの資金も必要になります。そして老後資金3,000万円は60歳定年退職を想定した数字です。退職年齢が5年延びたことで、老後資金として準備する資金も本来なら少なくなるはずですが、安心できる老後のためには60歳ではなく、65歳の時点で3,000万円確保しておくことが望ましいでしょう。
2013年に施行された改正高年齢者雇用安定法では、企業は原則65歳までの継続雇用することが義務づけられています。そのため老後といわれる年齢は60歳ではなく65歳以降になります。65歳以降の老後に向けてしっかりと必要額を準備していきましょう。