数ある金融商品の中でも、リスクの低さとリターンの大きさで人気の「投資信託」ですが、つい具体的な数字として表示されている「分配金」の利回りの大きさで、安易に選んでしまってはいませんか。今回は投資信託の分配金利回りの高さが持つ危険性について見ていきます。
分配金利回りの高さに惑わされるな!
投資信託初心者は、「分配金」という具体的な金額の高さで銘柄を選んでしまいがちです。しかし、この「分配金」の額だけに惑わされると、正しい選択ができなくなってしまいます。
投資信託は、投資している株式や債券の売買で得た「売却益」や株式の「配当金」、債券の「利子収入」などの収益を得ており、これら収益が、分配金の主な原資となっています。
分配金の支払いは、純資産額の減少を意味します。投資信託の運用資金から分配金は支払われることで純資産額が下がることで、基準価額も下がります。(※基準価額=純資産額÷口数)
純資産額が目減りすると、複利効果が薄くなってしまいます。分配金として支払われた分を再投資できないため、トータルリターンは下がってしまうからです。
下落局面では分配金はリスク回避になる
分配金が毎月、毎期支払われることは、仮に相場が下落局面にあれば、毎期分配金をもらい利益が確定することは、分配金により資金を手元においておけるので、投資信託が値下がりしても損をするリスクや金額が下がるという良さもあります。
大切なのは分配金利回りでなく、トータルリターン
このように考えると、分配金を基準に選ぶことが悪いというわけではありませんが、分配金だけで投資信託の購入を検討すべきではない理由はわかったと思います。分配金利回りだけでなく、トータルリターン(売却益と分配金の合計)がより見込めそうな投資信託を選ぶのがベストです。
とはいえ1000本を超える投資信託の中から何を選べば良いのか探すのは大変だと思われるかもしれません。しかし、証券会社に口座を開設をして、投資信託の検索機能を使うと絞り込むことができるので、投資信託を選ぶ際は、資産クラスを選んだ上で、短期の実績、中長期の実績いずれでみても、トータルリターンが大きい投資信託を絞り込むといいでしょう。
金融庁森長官は、毎月分配型投信について「年に一度分配される投信よりも税金面で効率が悪い。しかも、多くの場合、信託報酬だけで1%台半ばに及ぶ高い手数料の運用商品は、投資家の利益の立場に立つなら、100%避けるべきだ。したがって、毎月分配型投信を販売することは、フィデューシャリーデューティーの原則と完全に矛盾している。」としており、今後毎月分配型投信は少なくなっていく可能性が高い商品ともいえるでしょう。