ある程度貯蓄が増えてくると「貯蓄を運用に回したい」と考え始めたり、低金利・つみたてNISAの解禁(2018年1月)などをきっかけに、新たに運用を始めたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
実際資産運用を始める場合、自己資金や貯蓄額からどの程度を運用に回すべきか悩む人も多いと思います。今回は「貯蓄と運用の割合」について考えていきたいと思います。
貯蓄と運用それぞれのポイント理解する
運用を検討するにあたって、まずは「貯蓄」「運用」のそれぞれのポイントを押さえておきましょう。
・ 運用にはリスクがある
規模の大小はありますが、運用は商品次第で元本を増やすことができます。その反面元本を減らしてしまったり、最悪のケースでは全額失ってしまう可能性もゼロではありません。一方貯蓄は元本はほとんど増えませんが、元本割れすることはありません。
・ 貯蓄は運用のリスクを補う役割がある
貯蓄は元本がほとんど増えない代わりに、損失リスクもありません。そのため運用で元本が減ってしまったとしても、そのリスクを貯蓄で補完することができます。そのため手持ち資金全てを運用に回すのではなく、貯蓄をしっかりキープしておくことが大切です。
・ 現金化のスピードが異なる
貯蓄はすぐに銀行で現金化できるのに対し、運用は一定の期間が必要です。例えば投資信託を現金化する場合、申し込み受付から実際の受領まで最低3日は必要で、その日数は商品によって異なります。また運用は長期間運用することを前提としているので、途中解約すると損失を出してしまうこともあります。長い人生に、急にお金が必要になるケースもありますからすぐに現金化できる貯蓄を確保しておくことは大切です。
貯蓄と運用のベストバランスは?
資金からどの程度を運用に回すべきかを検討する場合、年収や回せる資金額・目的や期間などによっても異なってきますが、全てを検討していると結論に達するまでに時間がかかってしまう場合もあります。そのような時には、一般的に言われている投資と運用のバランスを目安とするのも一つの手と言えます。
・ 運用初心者におすすめ「運用3:貯蓄7」
安全性・収益性の両面から考え資金の7割を貯金に回すと、仮に運用で損失が出てしまったとしても資産全体が大きく減ることもなく、バランスが良いと言えます。最初は運用1:貯蓄9から始め、少し慣れたら徐々に運用の割合を増やしていくと更に安心です。
・ リスクヘッジをしながら運用で収益もある程度見込む「運用1:貯蓄1」
すでにある程度まとまった貯蓄額がある人におすすめの、1:1バランス。運用部分を分散投資にすれば、損失のリスクを減らすことができます。
・ リスクを取って資産を運用で増やしたい場合「運用7:貯蓄3」
ある程度短い期間に収益をあげて元本を増やしたい時は、7:3のバランスが良いでしょう。できるだけ多くを運用に回したいと思う人もいると思いますが、現金が必要になることもありますので3割の貯蓄はキープするようにしましょう。この場合、運用に回す商品選びも重要です。大きな収益も期待できますが、逆に損失が大きくなるリスクがあることもきちんと理解しましょう。
年代でも異なる貯蓄と運用の割合
運用はある程度長期を前提としているため、年代によっても運用に回す割合を変えていく必要があります。昔から言われている個人の運用割合を考える計算式として、次のようなものがあります。
100歳-実年齢=運用に回す割合(%)
この計算式に当てはめると、30歳の場合で70%の資金を運用に回すことになります。同じ年代でも健康状態や収入・家族構成などの条件によっても変わってくるため全てこの計算式が当てはまるわけではありませんが、貯蓄と運用割合を検討する場合には目安として覚えておくと便利です。
貯蓄と運用の割合に正解はありません。今回の記事を参考に貯蓄と運用のそれぞれの特性を理解した上で、自分の状況と照らし合せた貯蓄と運用のバランスを考えてみましょう。