個人所得を拡大することを目的とした税制措置
企業が雇用の拡大や給与等の支給を増やすことを促進するために設けられた制度が所得拡大促進税制です。賃金を増やした企業は減税のご褒美がもらえます。内容としては、雇用者に対して給与等の支給を増加した額の10%を法人税から控除することが認められます。ただし、控除税額は法人税額の10%、中小企業者等は20%が限度です。
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所得拡大促進税制の適用期間について
法人は平成25年4月1日~平成30年3月31日までの期間内に開始する事業年度であることで、個人の場合は平成26年1月1日~平成30年12月31日までの事業年度が適用期間です。
適用要件について
適用されるには次の3つの要件全てに該当する必要があります。
・雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること。増加促進割合は、平成25年度、26年度は2%、平成27年度は3%、平成28年度は大企業が4%・中小企業者等は3%、平成29年度は大企業は5%・中小企業等は3%です。
計算式:雇用者給与等支給額≧基準雇用者給与等支給額×増加促進割合
・雇用者給与等支給額が前事業年度の給与等支給額以上であること
計算式:雇用者給与等支給額≧前期雇用者給与等支給額
・平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超えていること
計算式:平均給与等支給額>前期平均給与等支給額
雇用者給与等支給額とは
雇用者に対する給与の額です。適用事業年度で損金算入される金額をいいます。役員報酬などは除きます。
基準雇用者給与等支給額とは
平成25年4月1日以後に開始する事業年度の中で、一番古い事業年度の前事業年度雇用者給与等支給額のことです。
平均給与等支給額とは
雇用者給与等支給額(日々雇い入れられる者分を除く)を、適用事業年度の給与等月別支給対象者の数を合計した数で割った金額です。たくさん給料をもらっている人から給料が安いという人まで全ての人を合わせて算出した1人あたりの平均給与のことをいいます。
雇用促進税制とどちらを使う?
似た制度に雇用促進税制がありますが、これは従業員の数を増やした時に税金が安くなるというものです。雇用促進税制については、事業年度開始2か月以内に職業安定書に計画書を提出する必要があります。また、所得拡大促進税制と雇用促進税制は併用できませんので、どちらか一方を選択して利用することになります。
まとめ
給料は上がらないのに物価は上がると生活の負担も大きくなります。所得拡大促進税制は、賃金を上昇させるための国の成長戦略です。利用する企業が増えることで、給与を増加させる企業が増えれば個人の生活も安定しますし、企業にとっても減税が受けられるというメリットがあります。