少子高齢化により公的年金への不安が高まる中、老後資金の資産形成手段の一つとして真っ先に思いつくのが個人年金保険ではないでしょうか。確実性・人気も高い個人年金保険ですが、いくつか注意しておくべきポイントがあります。今回は個人年金保険のデメリットについて見ていきましょう。
途中で解約すると損をする
個人年金保険を契約する際に、一番注意をしたいのが「途中解約は損」という点です。解約をしても解約返戻金はありますが、途中解約をした場合、基本的に支払い総額を下回ります。実際の例で見てみましょう。
・個人年金保険の途中解約返戻金の例(満期返戻率107.6%)
加入年数1年 返戻率:42.3%
加入年数3年 返戻率:76.1%
加入年数5年 返戻率:83.6%
加入年数10年 返戻率:91.1%
加入年数20年 返戻率:96.6%
このように、解約年数が早ければ早いほど返戻率が低くなりますので注意しましょう。
お金はそれほど増やせない
確実性が高く節税効果もある個人年金保険ですが、満期時の返戻率は105〜110%前後の商品が多く、それほど利率が高いとは言えません。個人年金保険と同額を運用した場合の例を見てみましょう。
・ 個人年金保険(M生命の商品趣味レーション)の場合
毎月の払込額:2万
契約期間:35年(払込30年、据え置き5年)
年金受取累計額:約762万
・ 資産運用(金融庁の運用シュミレーターで運用利率4%で計算)の場合
毎月の積み立て額:2万
積み立て期間:30年
予想最終積み立て金額(30年後):13,880,988円
いかがでしょうか。運用の場合はインデックスファンドの平均利回りと言われる4〜6%の4%で計算をしました。あくまで一例ですが、30年後に受け取れる金額に倍くらいの開きがあることが分かると思います。
もちろん運用利率は上昇するだけでなく、下落するリスクもありますので単純比較は難しいですが、運用のように「お金を増やすことのできる側面」は、個人年金保険にはあまりないということになります。
インフレに弱い
個人年金保険は固定金利商品が多く、また途中解約をしない前提で設計させていますので、資産が長期間凍結されることになります。そのため個人年金保険の最終的な返戻率が110%だったとしても、30年の間にインフレによって物価が15%上昇した場合、個人年金で上乗せされた返戻分のお金は意味をなさないことになってしまいます。
個人年金保険でも変動金利の商品もありますが、もし年金支払い開始時の市況が良くなければ、返戻率は固定の方が良いというケースもありますので、商品特性を良く理解しておくことが大切です。
将来への資金準備として人気の個人年金保険。注意すべきポイントをいくつか挙げましたが、これらのデメリットは他の資産形成手段で補うことも可能です。将来への資金準備を検討し始めたら、個人年金保険だけでなく投資信託その他の方法なども幅広く検討し、納得いく形で選択できるようにしましょう。