投資信託で資産形成をしている人は、「10年後に教育資金で300万まで増やす」「20年後、老後資金して2000万をつくる」など、運用の目標をある程度設定している人が多いと思います。目標を設定することも大切ですが、同時に目標を達成するための資産配分(アセットロケーションとも呼ばれます)も、目標や目的を達成するためには同様に大切な要素です。今回は資産配分における、投資信託の割合の考え方についてみていきましょう。
ベストな投資信託の割合は?
投資信託で運用益を得るには、長期の運用が前提です。運用初期段階で、これから何かリスクが起きてもカバーできるだけの運用期間があればハイリスク・ハイリターンを狙うのもありでしょう。一方長年運用してきた資産について、目標間近でハイリスク・ハイリターンを狙った場合、もし損益が出てしまうとその後の運用期間が短いため損益分のカバーができなくなってしまいます。
一般的に、運用前半(40歳代くらいまで)では、積極的に「ハイリスク・ハイリターンの株式」割合を多めにしておくほうが良いと考えられています。運用後半(50歳代以降)の世代では資産を大きく減らさないことを意識し、「ローリスク・ローリターンの債権」を多めに保有したほうが良いとされています。
例を見てみましょう。
・20〜30歳代
バランス重視のAさん 株式70%、債権30%
ハイリターンを狙うBさん 株式100%
・ 40歳代
バランス重視のCさん 株式50%、債権50%
ハイリターンを狙うDさん 株式70%、債権30%
・ 50歳代
バランス重視のEさん 株式30%、債権70%
ハイリターンを狙うFさん 株式50%、債権50%
より安全な運用を意識すれば、債権の割合を増やすことになります。また株式や債権も、国内・海外のものかによっても異なってきますので、そのあたりも意識して分散すると良いでしょう。
資産配分に正解はない
投資信託の割合について一般的な考え方を述べましたが、実は資産配分を検討することはとても難しいことであることを認識してください。資産配分の検討が難しい理由は、大きく次の2つが挙げられます。
・ 10年後や20年後のことは予測不可能
現在の状況で投資信託の割合を決めベストな資産配分を試みたとしても、10年後には経済状況も変わって、現在の投資信託の割合が良い結果をもたらすかどうかは分かりません。これまでもリーマンショックなどを経験した人もいるかもしれませんね。時代とともに、経済状況も投資信託の割合も変化していくことが当然のことと受け止めましょう。
・ リスクの許容範囲は人それぞれ
年代別に目安となる投資信託の割合を出したところで、許容できる損益や期待する利益は人によって異なります。運用益3%を目指すのか、5%を目指すのかでも投資信託の割合は変わってくるでしょう。そのため「望ましい投資信託の割合は、その人次第」と言わざるを得ないということになります。
投資信託においてリターン・リスクをコントロールし、安定した収益を得ることができれば、それに越したことはありません。ただしさまざまな条件や許容リスクなどによって、「望ましいとされる投資信託の割合は変動する」ということを念頭におき、資産配分を考えていきましょう。