医療のリスクへの備えは本当に必要?
有数の保険大国である日本。現在医療保険に多くの人が契約をしており、その世帯数も約8割を超えています。しかし医療保険は掛け捨ての場合が多く、自動車保険などとは違って起こるリスクも身近ではないことから払い損なのでは?と考える人も多くいます。
医療保険ってどんな保険?
現在医療保険を契約している人、これからから契約しようとしている人はその保障内容を再度確認してみましょう。医療保険の基本保障部分、いわゆるメインになっているものはほとんどが入院保障です。その基本保障部分に通院保障や先進医療、特定疾病などの保障などが特約として付帯されます。
入院の自己負担費用は平均で1日あたり21,000円。この金額には、治療費の他にも自己負担分である食事代や差額ベッド代など費用が含まれています。もしも20日入院すれば単純計算で42万円必要になります。入院に必要になる費用を全て医療保険で賄おうとする場合には、年齢によっては毎月かなり高額な費用の保険料が発生することになります。
もし入院で高額な費用が必要になっても…
日本では医療機関の窓口で健康保険証を提示すると現役世帯の場合でも3割負担で診療を受けることができます。そして高額療養費制度によって、1か月の医療費自己負担には上限があります。
年齢や所得によって違いはあるものの、一般家庭の場合は自己負担限度額が80,100円で収まる場合が多いのでそれほど医療費に負担がかかることはないでしょう。しかも以前は医療費を全額先に支払った後に還付を受けるという形式だったのですが、現在では事前に申請を行うことで限度額以上の医療費を支払う必要もなくなりました。
支払った総額保険料に見合う保険金?
医療保険は基本掛け捨てであることを考えると、長期間支払っていざ保障を受ける段階になったとしても支払った分に対して満足できる保障分が費用として発生するのか疑問です。
例えば契約年齢30歳の男性が月々5,000円の保険料を60歳まで支払うとした場合、総額で180万円支払うことになります。仮に入院1日につき1万円の保障であるとした場合、30日入院しても支払われる入院費用は30万円です。
医療保険の保障には制限や変更がある
医療保険には一般的な入院の場合は支払限度日数が設定されており、通算で1,000日までの保障といったケースの場合にはその日数を超えた分についての保険金は支払われません。また、医学の進歩や社会保険制度の改正に伴って、各社保障内容についてたびたび見直しが行われています。現在契約した医療保険の保障内容が、20年や30年先に十分な保障内容であるとも限らないのです。
貯蓄があれば医療保険は不要?
公的医療保険の充実によって、自己負担額が高額で負担を感じるというケースは少なくなりました。入院することになっても貯蓄で医療費を支払うことができれば毎月民間保険会社の医療保険へ契約をして保険料を負担する必要がないとも言えます。
高額療養費にあてはめて考えると、毎月の自己負担限度額は約8万弱。そして年に3月以上高額の負担がある場合には4月目以降は約4万弱になります。1年間毎月高額療養費の対象になったとしても、自己負担は約60万円。仮に2年半その状態が続いたとしても150万円くらい貯蓄があれば賄うことができます。そう考えると毎月発生する保険料をかけ捨ててしまうより、毎月着実に貯蓄していくほうが良いでしょう。