お得な制度として今ではすっかり定着している「ふるさと納税」は、令和元年度の寄付総件数は、233億件以上、総寄付額は、約4875億円(※)と多くの人が利用しています。今年は、返礼品を受け取ることで、新型コロナウイルスの被害を受けた地元の事業者などを支援できる形のふるさと納税も登場し、さらに注目度が高まりました。
※総務省 令和2年度ふるさと納税に関する現況調査
ふるさと納税の寄付は原則いつでも利用できますが、今年の(2020年)収入に対して税控除を受ける場合、2020年12月31日までに寄付をする必要があります。また、年末ギリギリに寄付をするにはいくつか気を付けておくべき点も。今回は、年末に駆け込みで寄付をする場合の注意点を解説していきます。
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まずは、ふるさと納税制度の仕組みをおさらい
ふるさと納税のメリットは、希望の自治体へ寄付をすると税控除が受けられることです。上限額がありますが、所得に応じ寄付額のうち2000円を超える分について所得税の還付と住民税の控除として全額が戻ってきます。さらに、寄付先の地域の特産品などを返礼品として受け取ることができます。
利用する方法は、ふるさと納税のポータルサイトを利用して寄付先の自治体を選び、寄付をするだけ。寄付金の納付方法は自治体によって異なりますが、主な方法はクレジットカードや銀行振込、コンビニ支払いなど。寄付完了後、寄付先の自治体から返礼品と受領証明書が送られてくるので、税控除を受けるために翌年3月15日までに確定申告をすませる必要があります。
ワンストップ特例制度なら確定申告が不要に
会社員などの給与所得者で、寄付する自治体数が5つ以内の場合、所定の書類を寄付した自治体へ送付するだけで確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」があります。必要書類の提出は、寄付した自治体すべてに、翌年1月10日必着で郵送することが条件となりますが、確定申告の煩雑な作業が省け便利な制度と言えます。ただし、この制度が利用できない人もいるので注意が必要です。
≪ワンストップ特例制度が使えない人≫
◎自営業やフリーランス
◎給与所得者の場合…以下の条件に当てはまる人
- 6自治体以上にふるさと納税をした
- 給与所得以外の所得が20万円超
- 医療費控除や住宅ローン控除(初年度)の申告がある
- 給与収入が2000万円超
- 2カ所以上から給与所得がある
収入減は寄付上限額に影響するので要注意
ふるさと納税での寄付で、控除を受けられる寄付の上限額は、年収や家族構成によって変わってきます。収入が高く扶養する家族が少ないほど上限額が高くなります。また、上限を超える寄付額については税控除を受けることができません。特に今年は、新型コロナウイルスの影響で前年並みの収入が見込めないという人もいるでしょう。寄付する前に、自分の上限額を確認するようにしてください。総務省ふるさと納税ポータルサイト内の「寄付金額控除額の計算シミュレーション」で試算すると上限の目安が確認できます。
URL:
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
全額控除(※)される寄付上限の目安 ※2000円を除く
年末駆け込み寄付で注意する点は?
年末が迫ってくると忙しい日々に追われて、「今年のふるさと納税は、年末年始の休みに入ってから……」と思っている人もいるかと思います。ですが、年末ギリギリの寄付の場合、その年の税控除対象から外れてしまうなど、思いもよらぬ落とし穴があります。特に、その年の寄付上限額まで無駄なく使い切りたいという人は、次の点に注意して利用するようにしてください。
ワンストップ特例を利用したい
ワンストップ特例制度を利用するには、翌年の1月10日までに寄付先の自治体へ申請書とマイナンバーカードのコピーなど必要書類一式が到着していなくてはなりません。そのため、書類を提出する日程を考慮して寄付をするタイミングを考えることが大切です。間に合わなかった場合は、確定申告に切り替えれば、税控除を受けることが可能になります。(翌年3月15日まで)
寄付に銀行振込・郵便振替を利用する
ふるさと納税は寄付金が自治体へ着金することで税控除の対象となります。ギリギリに銀行振込や郵便振替を利用すると、場合によっては受け入れ先の自治体で着金確認ができず、年内の締め切りに間に合わない恐れがあります。ギリギリに寄付を考えているなら、銀行振り込みなどではなく、即時決済となるクレジットカードの利用が有効です。クレジットカードの場合、自治体にもよりますが、12月31日23時59分まで受け付けてくれるところがあります。また、決済利用でポイントが付くクレジットカードを利用することで、税控除・返礼品・ポイント付与と3重でお得になります。
お正月用の食材を返礼品でまかないたい
年末年始は、物流が混雑して配送が遅れることがあります。お正月に食べるために返礼品を受け取りたいと考えているなら、早めに寄付を行った方が良いでしょう。また、人気の高い品は、年末に売り切れが続出して目当てのものは受け取れなかったということも大いに考えられます。
返礼品を翌年以降に受け取る方法もおすすめ
ふるさと納税の楽しみの一つが、地元自慢の旬の果物やその時期しか味わえない新鮮魚介などがもらえること。年末あわただしく駆け込みで寄付をすると、じっくり吟味する時間がなくその楽しみが半減してしまうかもしれません。その場合におすすめの方法は「ポイント制度」の活用。この制度を利用すると寄付を年内に済ませて、返礼品の受け取りを翌年以降に繰り越すことが可能になります。
この制度は、ポイント制度を導入している自治体への寄付をすると、寄付額相当のポイントが発行され、後日、返礼品とポイントを交換できるというものです。
ポイントには利用期限がありますが、長いところでは2年程度の期限がある自治体もあるのでじっくりと検討する時間が稼げます。たとえば、品切れしているものが入荷したタイミングや、旬の時期にしか味わえない食材と交換するなど……。また、ポイントは合算することもができるので、今年残ってしまった寄付額をポイントで繰り越して、来年分とプラスして金額を増やし、交換することも可能です。ただし、自治体で発行されたポイントはその自治体でしか使えないので注意しましょう。
最後に
ふるさと納税は、税控除が受けられ、返礼品も受け取ることができるお得な制度です。返礼品は、食品類だけでなく、宿泊券や体験型などのサービスの利用もあり、様々な角度から家計の節約に貢献できます。
今年分の税控除として寄付する場合は、期限に注意しながら利用してください。また、上限額を確認して無駄なく寄付することや、クレジットカード利用でポイントを受け取るなど、工夫をすることでもお得度が増していくのでうまく活用するようにしましょう。