いよいよ新NISAがスタートしました。NISAとは、「少額投資非課税制度」の略で、投資で得た利益にかかる、約20%の税金が非課税になるお得な制度です。そもそも、旧NISAから新NISAへと制度が改正された背景には、「貯蓄から投資へ」の流れをさらに加速させたいという政府の狙いがあります。また、NISAは「老後2,000万円問題」「年金支給額の減額」など人生100年時代へ向けたお金の問題を解決すべく、「家計の安定的な資産形成の支援」を目的としています。つまり、投資でお金を増やしていく環境作りを国がさらに後押しするため改正に踏み切ったのでしょう。旧制度では、やや使いにくかった点が解消されてよりシンプルに使いやすい仕組みにパワーアップ。今回は、その改正ポイント4つをご紹介していきます。
①旧制度のつみたてNISAと一般NISAが統合
旧NISAでは、主に投資信託を長期間積み立てしていく「つみたてNISA」と、投資信託の他、株式やETFなど幅広く投資できる「一般NISA」のどちらか1つを選ぶ必要がありました。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠を、1口座で併用することができます。そのため商品選びの選択肢が広がりました。
②非課税期間の無期限化
旧NISAでは、非課税期間があったため、「NISA口座で売却」「課税口座で保有継続」を、期間終了のタイミングで決める必要がありました。この場合、期間終了時に価格が下がっていれば損益になり、課税口座で保有して利益が出たら売却すると税金が取られるという悩ましい2択でした。非課税期間の無期限化でこの悩みが解消され、期限を気にすることなく値上がりするまで待つことができます。
③非課税枠利用の投資可能額の拡大
投資可能額が増えるのもうれしいポイントです。旧制度では、つみたてNISA年間40万円(非課税期間20年で800万円)か、一般NISA年間120万円(非課税期間5年で600万円)のどちらか選んだ1つが上限額でした。ですが、この2つの枠は併用できますから、両方合わせた金額が上限額となります。
つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円とそれぞれ金額が増えたので、年間上限は360万円まで大幅に拡大しました。また、新制度では、生涯投資可能額が新たに導入され、1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)までなら一生涯非課税になります。ただし、この金額はあくまで上限であって、急いで投資枠を使い切る必要はありません。投資は、貯蓄と違いマイナスになる可能性もありますから、家計の状況を見ながら利用すること。無理に投資をして、家計が圧迫されては元も子もありません。例えば毎月1万円など、少額の積立投資から始めて、少しずつ増やしていくことをおすすめします。
④非課税枠の再利用が可能になった
仮に、つみたて投資枠も成長投資枠も毎年上限額まで投資すると、5年間で1,800万円に到達するので、6年目以降はNISAを使って投資はできなくなります。ですが、新制度では保有している商品を売却した場合、その分の非課税枠が翌年以降に復活するようになりました。枠が復活する金額は、売却したときの金額(時価)ではなく、購入した時の取得額(簿価)で管理されることは覚えておきましょう。以前は1度使った非課税枠を復活することはできませんでしたから、この改正で一部売却して使うことも可能になりより使い勝手がよくなりました。
以上のように、新NISAは改正により商品の選択肢、投資のタイミングなどを自由に選べるようになってより使いやすくなりました。特に、「つみたて投資枠」で利用できる商品は、金融庁が厳選したものに限定されていて手数料が安く投資初心者でも安心して選べるラインナップです。今まで、投資は怖いと二の足を踏んでいた人もこれを機会に投資にチャレンジしてみてはどうでしょうか。