2025年度から始まる新たな「大学無償化制度」ってどんなもの?

  • LINEで送る

小学校から大学までオール公立でも、教育資金は1000万円程度かかると言われています。なかでも、もっともお金がかかるのが大学の費用。もし大学の入学金や授業料が無償になったら、子育て世帯の家計は大助かりですよね。今回は、2025年度から実施されることが決まった「多子世帯の大学等の授業料等無償化」の概要についてご紹介していきます。

扶養する子どもが3人以上の世帯が対象。親の所得制限なし

2023年12月22日に閣議決定した「こども未来戦略」において、「多子世帯の大学等の授業料等無償化」が盛り込まれ、2025年度から実施されます。多子世帯とは扶養する子どもが3人以上いる世帯のことです。「こども未来戦略」では、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子どもを持ち、安心して子育てができて、子どもたちが笑顔で暮らせる社会の実現を目指しています。すでに2020年度から「高等教育の修学支援制度」として「大学等の授業料等無償化制度(授業料等減免・給付型奨学金)」がスタートしています。2025年度からの実施は、この制度を利用する場合、扶養する子どもが3人以上の世帯を対象に親の所得制限がなくなるというものです。

支援される金額は、現行制度の「授業料等減免」の枠と同じで具体的な支援金額は、下図のとおり(実施にあたり変更の可能性あり)です。国立と私立では金額が異なります。この制度の対象となる教育機関は、大学だけでなく、短期大学、高等専門学校、専門学校も対象となります。

制度を利用する際の3つの注意点をチェック

親の所得制限がなくなったことで利用しやすくなりますが、注意しておくこともあるので確認しておきましょう。

①支援の対象となる教育機関の要件が決まっている
支援の対象となる教育機関は、一定の要件を満たすことを国が確認した教育機関のみです。文部科学省のホームページから検索できるので、希望する教育機関が対象かどうか事前に確認しましょう。

②子どもが3人以上同時に扶養されていること
3人の子ども全員が同時期に支援の対象となる大学や専門学校等に在籍している場合は、3人とも支援の対象になりますが、第1子が大学を卒業して扶養から外れると、第2子、第3子が対象の教育機関に在籍していても支援の対象外になるので、注意が必要です。

③支援内容は、「授業料等減免」のみで、「給付型奨学金」はない
現行制度の「大学等の授業料等無償化制度」では、返還不要で、毎月の生活費の支援を受けることができる「給付型奨学金」がありますが、「多子世帯の大学等の授業料等無償化」では、入学金・授業料の負担軽減のみの支援となります。

子どもが2人以下の世帯は現行の制度を利用できる

子どもが2人以下の世帯は、現行の「大学等の授業料等無償化制度」を利用することができる予定です。だたし、住民税非課税世帯およびそれに準ずる所得世帯が対象となっており、その他に資産条件や学業条件を満たす必要があります。なお、2024年度より扶養する子どもが3人以上の世帯または私立の理工農業系分野への進学であれば年収600万円まで対象となるよう改定されています。

2025年度から実施される、扶養する子どもが3人以上いる世帯向けの「大学等の授業料等無償化制度」の具体的な内容は今後順次決められていきます。親の所得制限がなくなりますので、現行制度よりも利用しやすくなるはずです。子どもが3人以上いる世帯の方は、この情報をぜひお見逃しなく。

  • LINEで送る