日本銀行のマイナス金利付き量的・質的金融緩和とは?

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日本銀行法では日本銀行の金融政策の理念を、物価の安定を図ることを通じながら国民経済が健全に発展することです。物価の安定が重要になるのは経済活動や国民経済の基盤に大きく影響するからと言えます。個人や企業は物やサービスの価格を手がかりに消費や投資を実践していくかを決定していますが、物価の変動が大きくなるとそれぞれの価格を見ながら個別に判断していくことは困難になります。さらに資源分配は効率的に行われなるなど、所得配分にも影響を与えてゆがみを作ります。

 

 

マイナス金利付き量的・質的金融緩和について

このようなことから日本銀行は2013年1月に物価安定の目標を前年比上昇率2%と定め、目標が実現できるために様々な政策を行いました。金融政策の1つにマイナス金利が導入したことがあげられますが、これによって金融機関が保有する日本銀行の当座預金に0.1%のマイナス金利を適用することになりました。日本銀行が行うマイナス金利付き量的・質的金融緩和とはどのようなものか、それぞれの方針と実施する内容については次の通りです。

・金融市場調節方針

量的部分としての実施は金融市場調整を行い、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加すると決められています。

・資産買入れ方針

質的部分としては、長期国債について保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するように買入れを行うと決定しています。ただしイールドカーブ全体の金利低下を促すという観点から、運営は柔軟に行われ買入れの平均残存期間は7~12年程度とするとされています。他にもETFの保有残高が年間約6兆円、J-REITは年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこと、CPは約2.2兆円、社債などは約3.2兆円の残高を維持することになっています。

マイナス金利付き量的・質的金融緩和を継続していく方針

日本銀行は2%の物価安定の目標を実現すること目指していますがそのためにマイナス金利付き量的・質的金融緩和を継続するとしています。今後も経済・物価のリスク要因を点検しながら、物価安定の目標が実現できるために必要があれば追加的に金融緩和措置を講じていくことになるでしょう。既に2013年4月に量的・質的金融緩和、2014年10月には量的・質的金融緩和の拡大、2015年12月には量的・質的金融緩和の補完措置、2016年7月には金融緩和の強化と、物価2%という目標が達成できるまで様々な措置を講じています。

今後の日本経済は?

日本銀行が目標に掲げている物価安定の目標である前年比上昇率2%ははたして実現されるのか、今の段階ではわかりません。ただしこのまま実現されないのであれば、日本銀行は新たに措置を講じてくることが予想されます。それによって経済にどのような影響があるのか、不安と期待が入り混じるところでしょう。

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