事前に決定していた信託期間が当初予定していた償還日(期日)を待たずに投資信託の運用が終了することや、信託期間の決まりがない投資信託が運用終了することを「繰上償還」といいます。
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繰上償還が起こるケース
あるファンドには、ファンドの受益権の総口数が当初設定していた時の10分の1もしくは30億口を下回ることとなった場合には繰上償還される場合があるといった取り決めがされています。これは解約する人が増えて投資信託の資産規模が小さくなり過ぎてしまうと、運用することが困難になるからです。事前に設定しておいた期限から前倒しして償還する可能性があるということを取り決めていることになります。
純資産額がある程度の規模である投資信託の選択を
純資産額や受益権口数が比較的小さめの投資信託を選んでしまうと途中償還の危険性がありますので、純資産額がある程度の規模である投資信託を選択するほうが良いでしょう。繰上償還は運用目的を信託期限以前に達成した場合などにも実施されることがあります。運用目的が達成されたとして繰上償還されれば、保有口数に応じて償還金に換金されてしまいます。そのためその代わりになる似た投資信託を見つけなければ、運用計画全体の見直しが必要になるでしょう。
償還金の金額は?
償還金は信託期間が終了する償還日の取引終了後に決定しますので、あらかじめ決まっているわけではありません。投資信託の運用成果として償還日に計算されて、償還日の基準価額で保有口数に応じて支払われます。
繰上償還(予定)のお知らせが送付されてきた場合
所有している投資信託について、自宅に繰上償還についての知らせが送付されることがあります。繰上償還を了承するのであれば特に何もアクションを起こす必要はないでしょうが、運用継続を望むのであれば期間中に異議を申し立てる必要があります。
運用は合意で終了できる
投資信託は信託財産が大きく減少して効率的な運用ができなくなった場合には、運用会社は信託銀行と合意の上で運用を終了することができるようになっています。これが繰上償還なのですが、投資信託によって内容は異なりますので投資信託説明書などで確認してみると良いでしょう。
お知らせが来たから繰上償還決定ではない
繰上償還(予定)のお知らせについての書類が送付された時点では、あくまでもまだ予定の段階です。償還される前に異議申し立て期間は1か月間ありますので、この期間に異議を述べた受益者(投資信託を保有している人)の受益権口数が総口数の半分を超えた場合には償還はされません。
受益者の合意がいらない場合も
中には信託の約款で一定の条件を満たした場合には繰上償還を実施することが定められている場合もあります。このような場合には、受益者の合意は関係なく繰上償還が行なわれることになります。