投資信託を購入する際に確認しておきたい項目として、「純資産総額」と「基準価額」があります。この2つを確認することで投資信託の現状がわかる場合がありますので、しっかりと理解しておきましょう。
純資産総額とは
株式、債券、現金などのファンドの資産から負債を差し引いたファンドの財産の合計のことを総資産総額といい、ファンドの規模を見る目安となります。「純資産総額=各株式・債券の価格合計+配当金・利息-信託報酬」で算出することができます。
基準価額とは
純資産総額を、ファンドを購入した投資家全員の口数の合計(受益権総口数)で割ったものが基準価額といいますが、投資信託の株価のようなものでファンド一口の価値を見る目安となります。「基準価額=純資産総額÷受益権総口数(×10,000)」で算出することができます。
純資産総額と基準価額のポイント
例えば基準価額が上昇しているのに純資産総額は減少しているものは注意しましょう。純資産総額が減少する傾向にある理由としては、運用成績が悪化しているか、もしくは投資信託の解約数が増加しているかがあげられます。運用成績の悪化が悪化していたとしても、ベンチーマーク(運用の目安にしているTOPIXなどの指数)に勝っていれば特に問題はないでしょう。問題なのは投資信託の解約数が増えていることによる純資産総額の減少です。
・投資信託の償還日が近いケース
基準価額が上昇していても投資信託の解約数が増えている場合には、純資産総額は左肩上がりの減少傾向で基準価額は右肩上がりの上昇傾向といったクロスを描いたグラフになります。この理由として考えられるのは償還日(運用終了日)が近いことで買い手がなくなり売り手が増えているからです。購入時には償還日も確認するようにして、ミスのないようにすることが大切です。
・繰上げ償還寸前の投資信託であるケース
そしてもう一1つ、純資産総額が減少傾向になる理由に投資信託の繰上げ償還の危険性があります。繰上げ償還は信託期限の前に運用できなくなったことで強制的に償還(運用終了)されることを言います。その原因は純資産総額の減少ですので成績が良くても繰り上げ償還になります。繰上げ償還となった場合、償還時の基準価額よりも高値で購入していると戻るお金は償還時の時価で評価され損失が確定します。
償還の近い投資信託を回避するために
純資産額が減少傾向にあるものは当然避けるべきですが、過去の純資産総額の推移にも目を向けるようにすると良いでしょう。例えば現在の純資産総額が50億円のものは、少しずつ増加して50億円になったのか、それとも数年前には100億円だったものが少しずつ減って50億円になったのかによって違いがあります。繰り上げ償還のリスクを回避するためには、それまでの動きもチェックしておくようにすると良いでしょう。