国内投資信託には、株式投資信託と公社債投資信託があります。株式投資信託は約款上、運用に株式の組み入れが可能なファンドで、公社債投資信託は株式を一切組み入れないで公社債だけで運用するファンドです。
2016年以後の公募株式投資信託と公募公社債投資信託の取扱いはほぼ同じです。保有している投資信託がどのタイプのものかを判断するには目論見書などで確認できますので、発生する税金を知っておくようにしましょう。
国内株式投資信託の税金
投資信託の利益には、分配金、償還差益、売却益、そして国内投資信託のみの解約益があります。株式型でも公社債投資信託でも利益の種類にかかわらず税率20%(所得税15%、住民税5%)の税金が課税されます。
・分配金にかかる税金
分配金は決算ごとに支払われるお金です。配当所得として源泉分離課税の扱いになるため、源泉徴収で申告する必要がありません。ただし確定申告により、配当控除や損益通算を活用することもできます。
・配当控除とは?
国内株式投資信託の分配金は源泉徴収で申告不要です。しかし総合課税として確定申告を行えば「配当控除」を受けることも可能です。ただし確定申告を行うことで所得の合計金額に含まれ、配偶者控除などに影響するケースもあることは理解しておきましょう。
・損益通算とは?
1~12月までの売買を計算して、利益と損失を合計から最終的に利益か損失かを算出する方法です。一方の口座では利益が出ているのに他方の口座で損失が出ている場合などは、利益と損失を相殺することで節税効果が期待できます。
2016年からは、確定申告を行うことで特定公社債や公募公社債投資信託の譲渡損失と通算することが可能になりました。
・分配金にも種類がある
国内株式投資信託の分配金には、普通分配金と元本払戻金による特別分配金があります。普通分配金は運用収益から支払われるため課税対象ですが、個別元本を下回る部分は特別分配金になります。
特別分配金の場合、元本の一部払戻しに相当する金額のため非課税ですので、特別分配金を受取った場合には個別元本および取得価額は減額修正されます。
・売却益、解約益、償還差益にかかる税金
売却益は運用期間中に販売会社に買い取ってもらうことによる利益で、解約益は運用期間中に契約を解除することによる利益、償還差益は運用期間が終了することによる利益です。全て譲渡所得として申告分離課税になります。
国内公社債投資信託の収益の種類と税金
公募公社債投資信託の税金の取扱いは株式投資信託と同様ですが、配当控除がありません。分配金は利子所得として源泉分離課税となります。確定申告で損益通算も可能ですが、総合課税を選択することはできません。
復興特別所得税も追加となる
また、東日本大震災からの復興財源を確保するため、金融商品の利子・配当・売買益は復興特別所得税の対象になります。復興特別所得税は、2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間で所得税額に対して2.1%を追加として課税します。
確定申告を行うかどうかの判断を
投資信託に利益にかかる税金は、確定申告の必要がなくても行うことで節税できるケースもあります。そのためどちらにメリットがあるかを確認するようにしましょう。