消費税10%への増税の対策として導入されたのが、住宅ローン減税を通常の10年間よりも3年長い13年間受けられる特例措置でした。
本来であれば、この特例措置は終了しているのですが、コロナ禍の影響を受け、当初の予定から「2年間」延長となりました。
ただし、特例措置を受けるには、注文住宅であれば9月末までに契約をする必要があります。
あと約2カ月しか時間がありません。特例措置を受ける場合、まさにタイムリミット。これからマイホーム購入を考えている人はこのチャンスを逃さないように検討してみてはいかがでしょうか?
サクっとおさらい「住宅ローン減税」
マイホームを購入する際に現金で購入できる人はなかなかいないでしょう。ほとんどの人が利用することになるのが「住宅ローン」です。
住宅ローンを組む際に一定の条件を満たしていると、所得税と住民税の一部が戻ってくるのが「住宅ローン減税」です。マイホーム購入の際、国から様々なサポートが受けられるようになっていますが、とくにおトクな制度といえるでしょう。まずはどんな制度なのか、住宅ローン減税について簡単におさらいしていきましょう。
住宅ローン減税を受けるためには、返済期間が10年以上の住宅ローンを利用して、床面積など一定の条件を満たす必要があります。
また、税金が戻ってくる期間(控除期間)は10年間。「毎年末の住宅ローンの残高」もしくは「住宅取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の“1%”」が最大40万円、10年間で最大400万円戻ってきます。取得するマイホームがバリアフリーや耐震性能、省エネ性能などに優れた「長期優良住宅」であれば、さらに金額がアップ。最大50万円が10年間戻るため、最大500万円になります。新築以外にも中古住宅、増築やリフォームも対象です。
住宅ローン減税が拡充中!
2019年の消費増税時、特例として住宅ローン減税の期間が10年間から13年間に延長されました。3年間の延長により最大80万円も多く税金が戻るので、できればこの特例を利用したいと思う人は多いはずです。
実は、従来の条件ではすでに特例は終了(従来は2020年末までの入居期限が条件。新型コロナウイルス対応の弾力化措置での入居期限は2021年末まで)。本来であれば、特例が受けられない期間ですが、新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響が懸念され、特例のさらなる延長が2021年度の税制改正により決定しました。これにより、入居期限が2022年末までとなっています。ただし、入居時期だけでなく、契約時期にも条件があり、新築注文住宅では2021年9月まで、分譲住宅では2021年11月までに契約する必要があります。
床面積要件の緩和も!コンパクトな物件でも利用できる可能性あり
この改正にあわせて、住宅ローン減税が適用される物件の対象も、「床面積50㎡以上」から「40㎡以上」と拡大しました。住宅ローン減税を受けられる対象が広がったこともうれしいポイントでしょう。
これにより、単身者やDINKS(子どものいない共働き夫婦)世帯などがコンパクトなマンションを購入する場合などで住宅ローン減税を受けられる可能性が高まります。
ただし、新たに対象となる「40㎡以上50㎡未満」の物件については、所得制限が厳しくなることには注意が必要です。通常の「年間3000万円以下」より厳しく「年間1000万円以下」の人に絞られます。
「すまい給付金」の期限も延長に
住宅ローン減税に加えてうれしい制度なのが「すまい給付金」です。こちらは消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために作られた制度で、年収などに応じて10万円~50万円が給付される制度。こちらも利用するには「返済期間5年以上の住宅ローンを借りていること」などの要件があります。
すまい給付金の適用期限は2021年末までの入居が条件でしたが、こちらも2021年度の税制改正で住宅ローン減税13年特例措置が延長されることに合わせて、「2022年末までの入居」に延長されています。
延長された住宅ローン減税の特例に関して年収1000万円以下を条件に、床面積要件(従来の「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されています。この床面積要件の緩和により、新たに生まれる住宅ローン減税対象者も、すまい給付金の対象となります。
まとめ
2022年以降の税制改正でも住宅ローン減税の期間延長が検討される見込みですが、残高の1%という数字に関しては、見直しの可能性もあります。場合によっては、住宅ローン減税の控除額が減ってしまうことも考えられます。
マイホーム購入を悩んでいてなかなか一歩を踏み出せない人も、住宅ローン減税の特例延長は「どうせ買うなら今!」という決め手のひとつになりえるでしょう。
マイホーム購入は人生の中でも大きなライフイベントのひとつですので、おトクな制度を活用しながら、お金のこともしっかりと考えて検討するようにしましょう。
執筆者:編集・制作プロダクション 回遊舎