一部の限られた人だけが投資するものというイメージから、徐々に身近なものになってきている仮想通貨(暗号資産)。2017年の仮想通貨バブル期には多数の「億り人」が生まれたことでも話題になりました。しかし、それと共にトラブルも増加しており、金融庁・消費者庁・警察庁は、下記を典型的なトラブル事例として紹介し注意を促しています。
・セミナーやSNS、マッチングアプリ経由で「必ず値上がりする」などと仮想通貨の投資を持ち掛けられ、入金をしたものの出金できず返金もされない
・知人に勧められてお金を振り込んだら、出金するためには追加費用がいると言われた
・入金後、仮想通貨を運用する業者と連絡が取れなくなった
特徴的なのは、SNSやマッチングアプリなど、オンライン上のやりとりだけで投資話に乗り、騙されてしまうケースが少なくないこと。こうしたケースでは、支払ったお金を取り戻すことは極めて困難になります。また友人や知人を介して声を掛けられたとしても、その人たち自身が「騙されている側」であることも多く、お金を取り戻せる可能性はほとんどありません。
そもそも「投資は自己責任」が大原則。たとえ詐欺でなくとも、投資自体が銀行預金のような元本保証ではないので、損をしてもお金は戻ってきません。自己責任である以上、投資や投資商品に関する知識を身につけることは必須といえます。知識があれば、リスク無しで資産がすぐに何倍にもなる、絶対に儲かる投資は存在しないことがわかるからです。
仮想通貨のトラブルに巻き込まれないために、まず下記の4つを覚えておきましょう。
①仮想通貨の取引は金融庁・財務局認可の交換業者と行う
日本の仮想通貨の交換業者は、金融庁・財務局への登録が必要とされています。金融庁ホームページの「暗号資産関係」から登録一覧を確認し、登録のない業者との取引はしないようにしましょう。なお、認可業者での仮想通貨取引だから安全・損をしないということではありません。
②認可業者が取り扱う仮想通貨は限られている
仮想通貨はビットコインとビットコイン以外の仮想通貨(=アルトコイン)に分類されますが、小規模なものも含めると現時点で2万種類以上存在するとも言われています。その中で認可業者が取り扱う仮想通貨は30種類程度と、ごく限られています。それ以外の仮想通貨には注意しましょう。
③仮想通貨は価格変動が大きい
仮想通貨は国や中央銀行などが発行する法定通貨ではなく、価値も保証されていません。取引の需給関係などによる価格変動(ボラリティ)が大きく、詐欺である・なしに関わらず、大きく儲かる可能性がある一方で甚大な損失を被る可能性も。場合によっては価格がゼロになる可能性もあることを認識しておきましょう。
④サイバーセキュリティのリスクがある
仮想通貨は電子データであることから、交換業者が大規模なサイバー攻撃を受けた場合などに、保有する仮想通貨が盗難されるといったリスクもあります。取引する場合は、通貨を保管するウォレットのパスワード管理を厳重にして自衛することも大切です。
このように、詐欺に対して注意することはもちろん、仮想通貨そのものの特徴やリスクについても把握しておくことが、トラブルを避けることに繋がります。それでも、もしトラブルに巻き込まれてしまった場合は、金融庁の金融サービス利用者相談室や消費者ホットラインなどに速やかに相談しましょう。