金融機関は日本銀行に当座預金を持っていますが、任意で預けている額については金利がマイナスになるという政策がマイナス金利政策です。
預けたままでは手数料が取られてしまうことになるため、金融機関が日銀に預けていたお金を企業や個人に融資していけば経済が活性化されるのではという期待によって実施されました。
日銀は当座預金口座の金利全体を0.1%、0%、-0.1%という3段階に分けることで、金融機関の収益が大きく悪化しない配慮をしています。
マイナス金利政策など金融緩和策の効果
2016年7月29日に金融政策決定会合が行われ、マイナス金利政策を含む金融緩和策の効果について次回9月下旬に開催される会合で総括的に検証することが決定しました。
日銀は2%の物価目標が約2年で達成することを目指し、大規模な金融緩和策の決定と2月に異例のマイナス金利政策を導入しました。
大規模な金融緩和が導入されてからは3年以上が過ぎましたが、物価の上昇基調は弱い状況です。
マイナス金利のメリットとデメリット
世の中の金利全般が低下して融資を受けやすい状況にはなったものの、その一方で金融機関の収益圧迫や企業や個人の資産運用が困難になるといったデメリットもあります。
日銀ではこのようなことを踏まえて現在の金融緩和策が物価上昇につながる効果とデメリットを検証し、2%の物価目標が早く達成できるため必要になるものは何かを検討することにしているそうです。
国債の市場の現状
2016年8月2日の国債の市場は、午前中から国債を売る動きが広がり価格が下落しました。
国債は価格が値下がりすれば利回りが上昇するという関係にありますが、長期金利の代表的な指標と言える10年国債の利回りはマイナス幅が縮小しました。
国債の利回りはマイナス幅が縮小した理由
この理由として考えられるのは、日銀が決定した追加の金融緩和策に国債の買い入れ金額増加やマイナス金利幅の拡大が組みこまれることがなかったためと言えるでしょう。
それまで国債を買っていた投資家たちは、買うのをやめて売る動きを強めたと言えます。
日銀が次の会合で金融緩和策の効果を総括的に検証するとしていますが、投資家たちの間では日銀が買い入れる国債規模は縮小されるのではないかと警戒しているためそのことが国債を売る動きにつながっているのではとも考えられます。
金融緩和策の与えた影響
日銀が導入したマイナス金利政策は8月16日で半年を迎えます。
短期から長期にかけてそれぞれの期間の国債利回りを結んだ曲線である「イールドカーブ」が、全体的にみて低下していることからマイナス金利の良い面が出てきたとも考えられるでしょう。