税制改正の大綱等において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示され2024年1月からNISA制度が大きく改良される見通しです。
さっそく変更内容を見ていきましょう。
まず、現状のNISA制度の概要を簡単におさらいします。そもそも、投資で得た利益には20.315%の税金が課せられるというルールがあり、仮に100万円の利益が出たとしても、20万円以上が税金で引かれてしまいます。
しかし、NISA口座を開いて、その中で投資をして得た利益は非課税になります。100万円を儲けたら、それが全額自分のものになるのです。このように非常にお得な制度ですから、投資をする際にはまずNISAを利用するのが基本になります。
ただし、NISAで非課税になる期間や金額(非課税枠)には上限が設定されています。2023年現在、NISAには「つみたてNISA」、「一般NISA」、「ジュニアNISA」の3種類があり、つみたてNISAは非課税枠が年40万円、非課税期間20年。一般NISAは非課税枠が年120万円、非課税期間5年。ジュニアNISAは非課税枠が年80万円、非課税期間5年です。
このNISA制度が、来年2024年から大幅に改良されることになりました。
つみたてNISAと一般NISAはこれまで別口座扱いで同時併用はできませんでしたが、従来のつみたてNISAが「つみたて枠」、一般NISAが「成長投資枠」になり、1つの口座で両方使えるようになります。
つみたて枠の非課税枠は年120万円、成長投資枠は年240万円になり、2つ合わせると年間最大360万円まで非課税で投資できることになります。両方を合わせた生涯合計の非課税枠は、なんと1800万円(うち成長投資枠が1200万円)に。さらに、どちらも非課税期間は無期限になります。
現状、つみたてNISAだと非課税枠が年40万円なので、その範囲内で毎月定額を積立投資するとなると、月3万3333円が上限。決して充分な金額とはいえません。これが月10万円まで投資できるようになる上、さらに成長投資枠も使えるようになるのです。一生涯で1800万円の投資まで利益が非課税になるというのは、かなり大きな改良といえます。
しかも、投資期間が長期になると複利効果で資産が増えやすくなり、リスクを下げる効果も大きくなります。非課税期間が無期限になれば、当然そのメリットも増すことになります。
ちなみに、ジュニアNISAは今年で廃止になりますが、子どものための投資は親がやるものなので、つみたて枠・成長投資枠の非課税枠が大きくなったことで、そのデメリットは解消されています。
このNISA制度の拡充は、岸田内閣の「資産所得倍増プラン」の一環です。欧米諸国に比べて投資に消極的で、預金を好む日本。その結果、日本人が抱え込んでいる個人金融資産は2000兆円を超えたとも言われています。この資産を市場に回すことで、企業が成長し、株価の上昇や配当の拡大を通じて私たちの家計が潤うという好循環が生まれます。しかし、ただ「投資をしましょう」といっても、なかなか一歩を踏み出せないもの。そうした人の背中を押すための施策が、このNISA制度の拡充というわけです。
変更は2024年1月からですが、2023年いっぱいは従来制度で投資できます。つまり、今年始めた分は、来年からの1800万円とは別で非課税枠が使えることになります。NISAの申し込みはスマホから15分もあればできるので、興味がある方は、この機会にチャレンジしてはいかがでしょうか。