定年退職後には老後資金がどのくらい準備できる?
一生懸命働いて、60歳で定年退職する際には退職金を受け取ることができると期待に胸を膨らませる人もいるでしょう。しかし退職金を子供の教育ローンや、マイホームの住宅ローンの返済に充てる予定にしている場合、老後資金としては何も残りません。
退職金の使い道が決まっている場合は要注意
仮に退職金の予定は2,000万円だとします。定年する前に住宅ローンは完済できると予定していて、定年を迎えた時点で貯蓄が1,000万円あるとしたら老後資金としては3,000万円準備できることになります。再雇用のパート労働者としてなど65歳までは働くつもりであれば収入も得ることができるため、老後資金の準備としてはそこそこの金額だと言えます。
しかし最近では60歳を迎えた時点で住宅ローンの残債が1,200万円、子供の教育ローンが300万円、貯めたお金は100万円というようなケースも見られます。この場合、住宅ローンと教育ローンを退職金で完済すると500万円と貯金した100万円しか残りません。たった600万円で老後を過ごすことになってしまいます。
あなたは老後貧困の予備軍ではありませんか?
老後に貧困生活を余儀なくされる人が増えつつありますが、次のようなケースに該当する場合には注意が必要です。
・60歳定年退職時点での住宅ローンの残債が退職金の半分以上になる場合
・子供の通学している学校が私立の場合
・50代後半以降が教育費のピークであり子供が新社会人になる時期と親の定年時期の幅が3年以下の場合
・子供が大学進学の際に教育ローンや奨学金を利用している場合
・何も貯蓄ができていない場合
このうち、該当する数が3つ以上ある場合はかなり老後貧困予備軍である可能性が高いでしょう。今からでも遅くありません、しっかりと対策をする必要があります。
老後資金の目安は3,500万円を目標に
今の40代や50代の人が老後を迎えた場合には、現在既に高齢者である人が生活するために必要になっている費用と同じ額が将来必要になるわけではありません。物価も上昇しつつあり、インフレにも対応していく必要があります。年金で給付される目安は多くても年200万~240万円が良いところでしょう。
そして必要になるのは日常の生活費だけではありません。税金や公的な保険に対しての支払いも必要です。少子高齢化が進む中で、税金や公的な保険への負担が軽くなるとは考えにくいでしょう。
将来の公的年金の受給額が減額し、年間収支のマイナスが年100万円で計算した場合、25年間で2,500万円、特別支出1,000万円とすると合計3,500万円の老後資金が必要になります。実際に年金生活になってから節約しながら生活してもお金が足らないということにならないためにも、今から少しずつ老後資金を貯めていくことが必要になります。