【雇用保険・失業手当】給付制限が2ヵ月に短縮、退職時の注意点とあわせて解説

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2020年10月1日より、雇用保険の基本手当、俗に言う失業手当の給付制限期間が2ヵ月に短縮されました。失業手当を頼りに退職を考えている方にとっては、ありがたいお知らせです。

ただし、短くなったとはいえ、自己都合で退職してから実際に失業手当が振り込まれるまで、2ヵ月半ほどかかります。以前より1ヵ月早くもらえるようになっただけで、すぐにもらえるわけではありません。

そういった点も含めて、この記事では、給付制限短縮のポイントと、退職時の注意点を解説していきます。退職を考えている方はぜひ参考にしてください。

※この記事は2020年10月上旬に執筆したものです。

自己都合退職の失業手当受給には、給付制限がある

勤め先が倒産したり、業績悪化によるリストラなど会社都合で退職したりした場合は、ハローワークの手続きをしてから最低7日間の待期期間だけで、失業手当を受給できます。

しかし、転職など自らの都合で退職すると、失業手当の受給は遅くなります。遅くなる理由は「給付制限」があるためです。

<従来の自己都合退職における失業手当の給付までのスケジュール>
離職票を提出→待期期間(7日)→給付制限期間(3ヵ月)→ハローワークで失業認定→口座へ失業手当が振り込まれる(認定後1週間程度)

このように、離職票の提出から実際に失業手当を受け取れるまでの期間が長く、これまで3ヵ月半程度かかっていました。失業したときの頼みの綱である失業手当なのに、受け取るまで4ヵ月近く待たされるのは辛いものがあります。

こうした現状を鑑みて、失業者が円滑に求職活動に臨めるようにするため、2020年10月1日より給付制限期間が3ヵ月から2ヵ月に短縮されることとなったのです。

給付制限期間の短縮化の具体的な内容とは

この短縮により、離職票を提出してから実際に失業手当を受け取るまでの期間は2ヵ月半ほどになります。

上記の画像を見てもわかるように、給付制限短縮にはいくつか適用条件があります。

<給付制限2ヵ月の適用条件>
・離職日(退職日)が2020年10月1日以降であること
・5年間のうち2回の離職まで
・犯罪行為による解雇など、「自己の責めに帰すべき重大な理由」による退職ではないこと

たとえば5年間で1年程度の勤務・退職を繰り返した場合、3回目の退職からは給付制限が3ヵ月になります。また犯罪行為など、会社に多大な損害を与えて解雇された場合も同様に給付制限は3ヵ月です。

どんな状況でも2ヵ月になるわけではないので、覚えておきましょう。

自己都合で退職するときの注意点2つ

給付制限の短縮化により、失業手当は以前よりも1ヵ月早く受け取れるようになりました。とはいえ、自己都合退職で実際に失業手当を受け取れるまでの期間は2ヵ月半程度。すぐに次の仕事が決まればよいのですが、2020年現在は新型コロナウイルスの感染拡大により、雇用情勢が悪化しています。働きたくてもなかなか仕事が決まらない、というケースも考えられるでしょう。

そういったことから、自己都合による退職を考えたときは、以下2つの点を考慮しましょう。

<自己都合退職時の注意点>
1. 失業手当を受け取れるまでの家計のやりくりを考えておく
2. 新型コロナウイルスの影響で自己都合退職する場合は、「特定理由離職者」と認められる可能性がある。その場合、給付制限は適用されない

短縮されたとはいえ、給付制限期間は2ヵ月あります。すぐに仕事が決まるとは限らないので、家計のやりくりをどうするか決めておきましょう。

なお、意外と知らない方が多いのですが、給付制限期間中であれば、アルバイトなどで生活費を稼ぐことは可能です。週20時間以内で雇用保険の対象にならない範囲なら、失業手当が減額されたり、受給期間が後ろ倒しになったりということはありません。

また2の場合には、ハローワークで特定理由離職者と認められれば、給付制限じたい適用されません。7日間の待期期間が終われば失業認定を受けられるため、実質1ヵ月弱で失業手当を受け取れます。詳しくは、厚生労働省のホームページを確認してください。

最後に

2020年10月からの給付制限期間短縮により、自己都合退職の場合、2ヵ月半ほどで失業手当を受け取れるようになりました。ただし、誰でも無条件で2ヵ月半になるわけではありません。退職時には、以下4つのポイントに気をつけてください。

  • 給付制限期間が短縮されるのは、2020年10月1日以降の退職で、5年間に2回まで
  • 犯罪行為による解雇など、「自己の責めに帰すべき重大な理由」による退職は対象外
  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響で退職する場合は、給付制限自体なくなる可能性がある
  • 短縮されても給付制限期間は2ヵ月あるので、その間のやりくりをどうするか考えておくこと(給付制限期間中であれば、週20時間以内のアルバイトなどは可能)

新型コロナウイルスの感染拡大により、雇用情勢は厳しい状態が続くことが予想されます。退職は慎重に、失業手当についてよく調べたうえで行いましょう。

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