投資信託の分配金利回りランキングは鵜呑みにできない?

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投資信託の評価会社、金融商品取引業者等などが、投資信託の分配金利回りランキングをインターネット上などに公表しています。
この投資信託の分配金利回りについては、どのような計算方法が用いられているかについては何種類か方法が考えられます。

 

直近の基準価額に利回りが左右される?

その中で「過去1年間の分配金の累計額÷直近の基準価額×100%」という方法を用いている場合には、特別分配金を支払った直近の基準価額が低ければ低くなるほど利回りは高くなってランキング上位に位置することになります。

 

同じ基準価額と分配金だったとしても…

例えば1年前に同じ基準価額だった2つの投資信託で、ここ1年間に支払われた分配金額も全く同じだったとします。
しかしこの2つの投資信託を表示する場合に、値下がりが大きかったほうの投資信託の利回りが高く表示されていることもあります。
ランキングを見れば上位ですので、パフォーマンスが良い投資信託だと判断してしまうかもしれませんが上位にあるから必ずしもパフォーマンスが良い投資信託とは限りません。

 

毎月分配型投資信託は本当の利回りの確認を

毎月分配型投資信託の場合、10%以上の高利回りのものが多くなっています。しかし利回りが高い投資信託ほどリスクも大きくなる傾向は強くなります。相場が良ければ良いですが、金融危機などの場合には利回りは形勢逆転で一気にマイナスに転じる可能性もあります。
毎月分配型投資信託を検討するのであれば、本当の利回りを確認しましょう。基準価額が下落した場合、1年間分の分配金から1年間の基準価額の下落分を差し引き、1年前の基準価額で割って算出します。

 

分配金が高ければ良いというわけではない

基準価額の下落分を差し引くと、見せかけ利回りから大きく下がった本当の利回りが出たという投資信託もあります。
どんなに高い分配金を受け取っていたとしても、基準価額が分配金の合計額より下落すると実質の利回りはマイナスになってしまうので元本が取り崩されたことになってしまいます。

 

分配の余力の確認も必要

分配の余力は「分配の健全率
と「分配可能月数」で確認できます。
分配金を費用控除後利子配当収入等から支払っている割合が分配の健全率で、「健全率 =費用控除後利子配当収入(1万口当たり)÷直近分配金」で算出できます。
費用控除後利子配当収入は、直近開示の運用報告書もしくは有価証券報告書の期末の値を使用しましょう。
分配の健全率がマイナスの場合は、元本の取り崩しがあったことになります。プラスなら分配の余力が向上したことを示します。

 

少ない分配可能月数では元本取り崩しの可能性が!

そして過去の蓄積が、「分配金-費用控除後利子配当収入の差引差額
の何か月分あるか、分配原資を確認しましょう。この分配可能月数が少ないと今後は減配される可能性、もしくは元本取り崩しという可能性が高くなります。

 

良い投資信託選びはランキングだけでは決まらない

分配金利回りランキングを見ると、つい上位の投資信託に目が向いてしまいます。しかし良い投資信託を選びたいなら、分配金利回りだけでなく投資信託の健全度についても確認することが必要です。元本を取り崩すことのない投資信託を選択するようにしましょう。

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